
「三びきのやぎのがらがらどん」について考える
「三びきのやぎのがらがらどん」は、日本でも有名なノルウェイのヤギについての童話で、絵本では世界中でベストセラです。日本においても同様です。

さて、三匹のヤギは太るために山の草場に行くのですが、ヤギは草食動物なので人間や肉食動物と違い、草を主食にしています。人は普通は草で太ったり筋肉をつけたりということは考えません。しかし、そもそも草の栄養分はほとんど炭水化物です。したがって人間が草ばかりを食べていても、炭水化物によるカロリー過多でタンパク質が不足し、身体の栄養バランスが取れません。ヤギなどの草食動物は、腸内細菌によって炭水化物からアミノ酸への合成ができているため、カロリー過多にならないのだと思います。
この「三びきのやぎのがらがらどん」は、英題はザ・スリー・ビリー・ゴーツ(GOATS)・グラフ。グラマラス・ゴートのゴート(GOAT)と同様のヤギの名前を題しています。ビリー・ゴーツというのは、雄ヤギたちを意味します。これは子ヤギではないという意味でしょう。かわいらしい仔ヤギも成長すると、怪物トロルを倒すほど強くたくましくなるということで、ヤギの野性味を感じさせます。
ヤギの野性味という意味では、「がらがらどん」という名前もそうです。これは、英題のグラフ(GRUFF、しわがれたとか荒々しいの意)からの発想と推測されます。ところで、この英題のGRUFFは、そもそもノルウェイ語のBRUSEの誤訳であるとの説が有力のようです。後者BRUSEは毛の房という意味で、しわがれたという意味ではありません。とはいえ、GRUFFにせよBRUSEにせよ、雄ヤギの性質を良く表していることは間違いありません。なお、上記の日本で出版されている絵本の作画はマーシャ・ブラウンというアメリカ人であり、ノルウェイ人ではありません。