
南アフリカの牧羊の歴史
グラマラスゴートのブランドは、ファミリーの牧場を南アフリカにもっています。そのファミリー牧場で得た素材を使って、自社ブランドの商品を作っています。そこで、日本ではあまり知られていない南アフリカの牧羊について説明します。
南アフリカの牧羊の歴史
南アフリカでは、今ではウールやモヘアの世界的な一大生産地です。はじまりは17世紀、その地で小規模な牧羊が始まりました。
1652年にケープタウンに上陸したオランダ人が開始し、東インド会社は南アフリカの羊毛生産の可能性を探ることとしました。しかし、採算が合わず、東インド会社は南アフリカでの牧羊を諦めました。
その後、オランダのオレンジ王家が南アフリカに新たな牧羊を始めました。南アフリカでのメリノウールの歴史が始まりました。
メリノウールは、グラマラスゴートのブランケットやマフラーに使われている、ウールの高級品です。もともとメリノウールは、スペイン王室が贈答外交の手段に活用していたものです。18世紀後半オランダのオレンジ王家もスペイン王室から貴重なスペイン・メリノ種の羊をプレゼントされました。オレンジ王家は、オランダ国内が湿気が高く牧羊に向かないため、乾燥した気候の南アフリカでの飼育を目指したのです。これが、メリノがヨーロッパ以外にはじめて渡った瞬間でした。
オレンジ王家から名を受けたゴードン将軍は、スペイン・メリノの純血を守ることに決め、南アフリカ牧羊業の礎を築きました。しかしまもなく、イギリス軍に破れ、南アフリカの植民地はイギリス領となります。メリノウールは、一部はオーストラリアへ渡り、オーストラリアの牧羊業が開始されました。
その後、スペイン・メリノの血を受け継いだ牧羊が南アフリカで発展し、ケープタウンはメリノの積出港として世界的な地位を築くことになります。また、東部のポートエリザベスは19世紀急激に発展を遂げ、南アフリカの牧羊産業の中心となっていきました。
南アフリカの牧羊の歴史において、もうひとつ重要な視点がボーア人です。ボーア戦争で有名なオランダ系のアフリカ人混血のボーア人が、ケープタウンから北部大移住したグレートトレックにより、ケープタウンから南アフリカ全土に牧羊が広まりました。
南アフリカの羊毛はソフトで品質が良いだけでなく、オーストラリアやニュージーランドと同様、品質情報を客観的測定に基づいて科学的に提供しています。
南アフリカのモヘアの歴史
南アフリカにモヘアのアンゴラヤギが飼育されるようになったのは19世紀前半です。
もともとアンゴラヤギは、トルコの首都アンカラ地方を中心に2000年前から飼育されてきました。
南アフリカは、1838年トルコからアンゴラ種を輸入しました。現在、トルコ、南アフリカ、アメリカのテキサス州がモヘアの世界三大産毛国です。
そして、1982年産毛量では、南アフリカは世界一の生産量を誇っています。
参考文献・大内輝雄「羊蹄記―人間と羊毛の歴史」平凡社1991年
・「世界大百科事典」平凡社
・「ブリタニカ国際大百科事典」TBSブリタニカ